結論としてデザインセンスを身につけるための近道は「ない」です。
「センスがいい」と言われることは「才能」と思っていませんか?
実はセンスは誰でもよくなる可能性があります。
特に新人デザイナーやキャリアの浅いデザイナーが直面する悩みです。
デザインセンスとは何か。またセンスを磨くための方法を紹介していきます。
私は現役グラフィックデザイナーで、30年以上グラフィックデザインの仕事をしています。これまでに教わったことや自分で気づいたことをお伝えします。
デザインセンスとは
デザインセンスとは生まれたもった「才能」ではないと思っています。
ではセンスを感じる人とはどんな人なのか。
知識や感覚、経験した自分自身の蓄積された情報を選択し、その中から最適な選択ができる人です。
例えば日本の伝統ある陶器市のフライヤーを作る時、どう表現しますか?
- 全体のトーンは和風的に
- フォントは明朝で
- 色は黒とゴールド系にして重厚感と上品さを出したい
- 写真は大きいものでインパクトを強くだそう
日本の伝統ある陶器市のイメージを今までに蓄積した情報の中から4つを選択しました。
得た知識とデザイン制作の経験をしなければでてこないので、いかに状況に応じたものに合わせるかがセンスにつながっていきます。
選択できるものを増やしていくことでセンスの質は高まっていくのです。
デザインの4原則を知ろう
経験を積んでいくことでデザインの質は上がっていくのですが、まずはデザインの4原則をしっかり理解しましょう。基礎を知ることでなんとなく置いた情報は整理整頓され見やすさが改善されます。それだけでなく美しく見栄えもよくなるので意識してつくりましょう。
近接の原則
関係する要素を近づけることで情報のまとまりを明確にし、理解しやすくします。
整列の原則
要素を規則的に揃えることで、秩序と統一感を出し、見やすくします。
反復の原則
デザイン全体に共通する要素を繰り返し使用することで、一貫性とまとまりを持たせます。
強弱の原則
重要な要素を目立たせるために強弱をつけ、情報に優先順位をつけ、訴求力を高めます。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、物事を論理的に考える思考法です。
思考的な要素はデザインする上で重要です。ただかっこいい、かわいいだけではいいデザインはできません。
どうしてこのデザインになったのかを説明できることは説得力と価値が生まれるのです。
具体的には3つの要素を意識してみましょう。
- 結論を明確にする
何のために考え、どのような結論を導き出すのかを明確にすることで、ブレのない思考ができます。
- 根拠に基づいて考える
思い込みや感情ではなく、客観的な事実やデータに基づいて考えることで、説得力のある結論を導き出すことができます。
- 筋道を立てて考える
論理的な思考の流れを明確にすることで、間違いを避け、理解しやすい説明ができます。
ロジカルシンキングはビジネスシーンや日常生活、学習など様々な場面で役立ちます。
意識的にロジカルシンキングを実践することで、より明確で説得力のある思考とコミュニケーションが実現できます。
デザインセンスはどうやって磨く?
知識・経験・選択で成り立っている
デザインは、何もないところから生まれるものではありません。過去のデザインや、様々な分野の知識を参考にすることで、新しいアイデアを生み出すことができます。
また、実際に手を動かしてデザインしてみることで、知識や経験を活かすことができます。試行錯誤を繰り返すことで、より良いデザインへと進化させることができます。
様々なデザインに触れる
実際に様々なデザインに触れ、経験を積むことも重要です。優れたデザインを見ることで、良いデザインのポイントを学ぶことができます。
身近な場所なら大型書店はデザインの宝庫ですね。
デザインだけでなくコピーライティングも大変勉強なって定期的に通うこともおすすめです。
ターゲットを考える
5W1Hという言葉があります。
Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を指し示す言葉です。
ターゲットや目的によって表現するデザインは変わります。デザインは情報を伝えるツールとして優先順位をつけて目立たせ、わかりやすくすることが必要です。
デザイナーの「思考法」を参考にする
最初は選択肢が少なく、どうすればいいデザインができるのか悩みますが、一番近くにいる先輩や上司の作品を見たり聞いたりアドバイスをもらいましょう。また日々目にするポスターや雑誌を見てかわいい!かっこいい!自分がいいと思うものをインプットしながら引き出しもどんどん増やしていきましょう。好きなものから始めるのもいいと思います。
- デザインに関する書籍やWebサイトを読む
- 優れたデザインを観察する
- 実際に手を動かしてデザインしてみる
- デザインの講義やワークショップに参加する
- 他のデザイナーの作品から学ぶ
【まとめ】デザインセンスは特別ではなく、誰にでも身につけることができる
デザインセンスは初めからないものです。たくさんのものを見たり、仕事の経験を積み重ね、その中から最適な選択をできる人がデザインセンスがいい人なのです。
すぐに身につくものではなく、時間がかかるのでセンスを身につける近道はないのです。
焦らず、たくさんの知識と経験を重ねていきましょう。ベテランデザイナーも常にアンテナを張って引き出しを増やし続けいています。
デザインは正解がないので、見た目だけでなく論理づけたデザインは質が良くなり価値が生まれ、お客様を納得させられます。
ちょっとした意識があなたのセンスを磨くのです。
インターネットの中だけでなく、外に出て街を歩いてみましょう!きっと新しい引き出しができるはずです!