なぜ人は広告を見るのか、これにはさまざまな心理学的要素があるのです。
広告は視覚から入るのが80%以上と言われていています。
目で見たものをいかに内容まで誘導させるか、何に気持ちが動くのか、人に行動を起こさせるために心理的要素はとても重要です。
デザイン制作する上でとても参考になる戦術なのでいくつか知っておくといいでしょう。きっと普段目にしていて「これは心理的効果なんだ」と、思うものがありますよ。
さらに広告のターゲットを決めて場所を選定したり、どのメディアを使うことか効果的なのか、広告を見てもらうための戦略はあります。マーケティングですね。広告をより発揮させるにはマーケティング+デザインなのです。
広告で使われている心理的効果はたくさんありますが代表的な効果11個を紹介します!
購買意欲を高める
希少性
希少性とは、手に入りにくいものほど、価値が高く感じられるという心理現象です。広告において希少性を訴求することで、消費者の購買意欲を高める効果があります。よくある数量限定や期間限定、シリアルナンバーなどです。
有名な商品として、マクドナルドの月見バーガーやユニクロの感謝祭、ライブのチケット先行受付シリアルナンバー付きCDですね。
確かに購買意欲がかき立てられます。
定着しつつある、CDのチケット先行受付はよくありますね。でも少しでもチャンスがあるならファンには嬉しい特典です。
ただし同じ広告戦法では飽きられてしまい、希少価値がなくなるので注意が必要です。
損失回避
損失回避とは消費者が得するよりも、損することを避けようとする心理傾向のことです。人は損する感情が得した感情よりも、2倍以上強いと言われています。
商品やサービスの数量や期間限定性を強調することで、「すぐ買わなければ損をする」という心理を刺激します。
またお試しキャンペーンや化粧品のサンプルセットなどは有効です。
高価なものを購入して自分に合わなかった場合、無駄になってしまうのは避けたいですよね。
リスク軽減
リスク軽減とは、消費者が商品やサービスを購入する際に感じる不安や懸念を払拭し、購入意欲を高める心理的効果です。
消費者は、新しい商品やサービスを購入する際に、以下のようなリスクを懸念します。
リスクを回避させるためには、正確な情報や注意書きを広告に盛り込むことで、消費者の不安や懸念を払拭することができます。
視覚効果による訴求ポイント
コントラスト効果
コントラスト効果とは、ある対象を別の対象と比較することで、実際よりもその対象の特徴が強調される心理効果です。広告においては、商品の魅力をより大きく伝え、購買意欲を高めるために活用されています。
価格の比較やビフォーアフターが当てはまります。
形状効果
形状効果とは、広告内の形状を用いて視覚的な効果を生み出し、消費者の注目や記憶を促す手法です。
例えば女性や子供を対象にした広告は丸みを感じる図形やパステル調のやさしい色使いで温かみをもたせるトーンを好みます。
主に形状から感じられる心理的な効果が下記のように表されます。
たとえばユニクロのヒートテックのロゴは、体温を表すような曲線的な形状で構成されています。この形状は、ヒートテックの機能性を効果的に表現しています。あたたかさが伝わっていますよね。
形状効果は、広告を効果的に訴求する上で有効な手法です。様々な形状の効果を理解し、ターゲット層や広告内容に合わせた形状を選択することで、より効果的な広告を作成することができます。
ホワイトスペース効果
ホワイトスペース効果は、余白を効果的に活用することで、広告の視覚的な訴求力を高め、広告メッセージを効果的に伝えることができます。
1. 注目を集める
余白を多く使うことで、広告全体がスッキリと見やすく、重要な情報に視線が自然と集まります。周囲の情報に埋もれず、ユーザーの注目を効果的に獲得できます。
2. 情報の整理
広告内に多くの情報を詰め込むと、ユーザーは情報過多になり、何を伝えたいのか理解しにくくなります。ホワイトスペースを活用することで、情報を整理し、読みやすく理解しやすいレイアウトにできます。
3. 高級感を演出
余白を多く使うと、広告全体が洗練された印象を与え、高級感を演出できます。特に、ハイブランドの広告では、ホワイトスペース効果を意識したデザインがよく用いられます。
4. ブランドイメージの強化
ホワイトスペースの使い方によって、ブランドイメージを強化することもできます。例えば、シンプルなデザインと広い余白を組み合わせることで、ミニマルなイメージを訴求できます。
5. 読みやすさの向上
余白を多く使うことで、文字間や行間が広くなり、文章が読みやすくなります。特に、長文の広告では、ホワイトスペース効果が重要になります。
ホワイトスペースは上品さ高級感が演出できる反面、デザイン的に難しいと言われています。文字バランスや色、配置にすごく気を使うデザインテクニックです。
認知的な効果
ストーリーテリング
ストーリーを用いることで、ユーザーの感情に訴えかけ、共感を生み出すことができます。商品やサービスを段階的に理解しやすく訴求力を高める有効な手段です。
ショートムービーをシリーズ化しているスバルのCMが印象的です。
ユーモア
ユーモアには、記憶に残ったり、興味が湧いたり、気持ちが明るくなる効果があります。
ユーモアを用いることでより楽しい感情で広告効果が上がり、ユーザーとのコミュニケーションツールとして成り立っています。
少し古いですが豊島園の「プール冷えてます」のようなユーモアとインパクトのある広告は忘れられませんね。
アメリカではテレビCMで24.4%、ラジオCM30.6%がユーモアを用いられています。またその広告効果も十分に効果を得られています。
ユーモアの効力は気持ちを元気にさせるので、商品の認知に合わせて企業イメージもよくなります。
参考:説得に及ぼすユーモアの効果とその生起メカニズムの検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp1971/39/1/39_1_86/_pdf
音楽
音楽の効果を発揮できるのは、やはり動画ですね。CMが一番発揮できます。代表的にはタケモトピアノでしょうか。音楽もさることながら社名もばっちり記憶に残ります。タイヤのマルゼン、キューピーの3分クッキングなども音楽とともにありますね。
また日本生命といえば小田和正!なんてこともないですか?音楽は人の心をリラックスさせる癒し効果にもなります。
さらに選曲で企業に思わぬ効果があります。広告戦略を立てた音楽のマッチングは人の感覚に刺激を与え、知りたい欲求が自然と生まれます。「いいな」と思ったら検索して企業ブランドを知るきっかけにもなります。制作工程の秘話や商品やサービスの想いを知れるとよりうれしいですよね。
個人的にHONDAのCM選曲に一目おいてます。
歴代CM曲は素晴らしいアーティストばかりですし、あらゆる方向から選曲してるのでCM曲は期待しています。
こちらはSUSHIBOYSさん!
知らなかったアーティストさんでしたが、軽快で楽しさが伝わります!
つい他の曲も聴いて、すっかりFAN になりました!
こちらは藤井風さんのきらり。疾走感あるメロディと柔らかな声が素敵です。
信頼感を与える
社会的証明
いわゆる口コミが一番わかりやすい社会的証明です。食べログやアマゾン、楽天市場などの商品レビューって皆さん読まれますか?
これって忖度ない感想が読めるので、参考になりますね。
広告か?と言われるとちょっと違うかもしれませんが、これを広告に使用するとよくないですか?
お客様満足度や第三者機関による認証マークを示すことで、商品やサービスの安全性・信頼性を高めることができます。
グッドデザイン賞・モンドセレクションのマークがついていると、信用度が高くなりませんか?
また「日本製」と明記されているだけで「日本製=クオリティが高い」イメージです。
同じ商品が並んでいて、「日本製」表記があれば買ってしまいます。価格が同じなら日本製を選びます。
「メイドインジャパン」はビッグネームですね。
権威性
権威性とは相手の社会的地位や立場が自分よりも上の場合、無意識に相手の言うことや主張を受け入れてしまう傾向があります。
専門的な知識を持つ人や著名なアスリート、芸能人が愛用しているなど、影響をもつ人物が発言する効果は計り知れません。
思い浮かぶのはコカコーラ社の綾鷹のCM「日本全国綾鷹試験 板前さん」編
「板前さんに聞いた急須で入れた緑茶に近いのはどれ?」に某3社を押さえて100人中62人が選んだのは綾鷹でした。お茶の専門家ではないものの「お茶にも気を配りたい板前さんなら信頼できる」と言う意味では影響力が高くなりそうです。
創業〇年以上の老舗企業や業界シェアNo.1の実績も、長年にわたって事業を継続している企業やブランドは、信頼感と安定感を与えます。
【まとめ】心理効果でターゲットの心を掴む戦術を知っておこう
この記事では11個の広告で使える心理効果を紹介しましたが、心理効果として「確かに」と思うことありませんでしたか?
まだまだ広告で使える心理効果はありますが、広告の効果はマーケティング+デザインの組み合わせで、より効果的に働きます。戦術のひとつとして知っておくことは大切です。
少なくとも「かっこいい」とか「かわいい」だけで広告は作られていません。
どうしたら集客できるか、どうしたら買ってくれるかを議論しながら、心理効果を利用した広告づくりがされています。
あなたが将来、心理効果を使った広告で成果をあげた時、クライアント様に感謝されることでしょう。
きっとあなたは達成感とうれしさで、いっぱいになりますよ!